【司法書士監修】認知症の家族がいても「後見人なし」で相続はできる?リスクと4つの対策を解説
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「父が亡くなり相続の手続きをしたいが、同居している母が認知症で遺産分割協議ができない」 「銀行の手続きで『後見人を立ててください』と言われたが、できれば後見人なしで終わらせたい」
東京都北区にお住まいの50代・60代の方から、当事務所に寄せられるご相談の中でも特に切実なのが、このように「相続人の中に認知症の方が含まれているケース」です。
成年後見制度を利用すると、手続きの手間や専門家への報酬が継続的に発生するため、「なんとか後見人を立てずに、自分たち家族だけで相続手続きを済ませられないか」とお考えになるお気持ちは非常によく分かります。
しかし、結論から申し上げますと、認知症により意思能力(判断能力)が低下している相続人がいる場合、後見人なしで遺産分割協議を行うことは法律上不可能です。
無理に後見人なしで手続きを進めようとすると、提出書類の不備で手続きがストップするだけでなく、将来的に遺産分割自体が「無効」となり、親族間で取り返しのつかないトラブルへ発展する危険性があります。
本記事では、相続分野に特化した司法書士が、認知症の家族がいる状態で「後見人なし」で進めることの法的リスクと、今から取れる現実的な4つの対処法について、北区での具体的な相談事例を交えて分かりやすく解説します。
認知症の相続人がいると「後見人なし」で手続きができない法的理由
被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していない場合、残された遺産をどのように分けるかは、相続人全員で話し合って決定する必要があります。この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。
法律上、遺産分割協議は契約の一種である「法律行為」にあたります。法律行為を有効に行うためには、自らの行為の意味や結果を正しく認識・判断できる能力である「意思能力」が不可欠です。
意思能力がない状態での遺産分割は「無効」
もし、お母様が認知症によって意思能力を失っているにもかかわらず、他の相続人だけで勝手に協議を進めたり、お母様の手を引いて印鑑を押させたりして遺産分割協議書を作成した場合、その遺産分割協議は法律上「絶対的無効」となります。
法務局や銀行、証券会社などの機関は、相続手続きの際に本人確認や意思確認を厳格に行います。窓口で判断能力の低下が判明した時点で手続きは拒否され、後見人の選任を強く求められることになります。
「後見人なし」で無理に相続を進めようとする3つの重大リスク
「少しくらいの物忘れなら大丈夫だろう」「家族間だけで口裏を合わせればバレないのではないか」と考え、後見人を立てずに強行しようとすることには、以下のような深刻な法的リスクが伴います。
リスク1:銀行口座が凍結されたまま解約できず、資金が完全に固定化する
金融機関は名義人の死亡を確認した時点で口座を凍結します。口座の凍結を解除して預貯金を引き出すには、原則として「相続人全員が合意して署名・捺印した遺産分割協議書」と「印鑑証明書」が必要です。
認知症の相続人がいて有効な協議ができない場合、故人の預金は完全に凍結されたままとなります。結果として、葬儀費用の支払いやお母様の今後の介護施設費用・医療費などを、お子様(ご相談者様)が自己資金で立て替え続けなければならなくなります。
リスク2:不動産(ご実家)の名義変更や売却が一切できなくなる
北区内にあるご実家などの不動産を売却し、その売却益をお母様の今後の介護資金に充てようと考えていても、遺産分割協議ができない以上、不動産の名義を亡くなったお父様から変更(相続登記)することができません。
名義変更ができない不動産は、不動産会社を通じて売却することも、担保に入れて融資を受けることも不可能です。放置されれば空き家化し、固定資産税や維持管理責任だけが重くのしかかる「負動産」と化してしまう危険性があります。
リスク3:後から他の親族(兄弟等)から「無効」を訴えられる
仮に書類の偽造などで一時的に手続きを完了させたとしても、後日、他の相続人や親族から「あの時、母には意思能力がなかった。あの遺産分割は無効だ」として裁判(遺産分割無効確認訴訟)を起こされるケースが多発しています。
裁判で無効と判断されれば、すべての手続きを最初からやり直さなければならず、損害賠償問題や親族関係の決定的な破綻を招きます。
【実例紹介】北区・A様(50代)の相談事例

ここで、当事務所に実際に寄せられたご相談事例(※プライバシー保護のため一部情報を変更しています)をご紹介します。「後見人なしで何とかしよう」と焦った結果、行き詰まってしまったご家族のリアルなエピソードです。
ご相談時の状況
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ご相談者: 東京都北区在住 A様(50代・会社員)
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被相続人: お父様(80代・急逝)
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相続人: お母様(80代)、A様、弟様の計3名
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課題: お父様名義の預貯金(約2,000万円)と北区内のご実家。お母様は要介護3の認定を受けており、中度の認知症が進んでいる状態。
A様はお父様が亡くなった後、「後見人を立てると費用がかかるし手続きも面倒だ」と考え、弟様と二人でお母様の実印を持ち出し、自作の遺産分割協議書にお母様の捺印をして銀行の窓口へ持参しました。
しかし、銀行の窓口担当者から「お母様ご本人の意思確認をさせていただきます」と言われ、言葉に詰まってしまいました。後日、銀行側から「お母様の判断能力に疑問があるため、この書類では解約に応じられません。家庭裁判所で成年後見人を選任してください」と厳重に拒否されてしまったのです。
行き場を失ったA様は、「自分たちがしたことは違法だったのか」「このままでは父の口座からお金も引き出せず、母の介護費用も払えない」と青ざめた様子で当事務所の初回無料相談にお越しになりました。
司法書士のアプローチと解決策
当事務所の司法書士が状況を整理し、無理に「後見人なし」で進めることの違法性とリスクをご説明した上で、正式な法的手段による解決を提案しました。
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主治医による診断と意思能力の確認 お母様のかかりつけ医に面談を実施し、現在の認知症の進行度を正確に把握。法律上の意思能力を欠く状態(自力での遺産分割協議は不可能)であることを確定させました。
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家庭裁判所への成年後見開始の申し立て 当事務所が申立書類の作成を全面的にサポートし、東京家庭裁判所へ申し立てを行いました。申立時には、長年同居して介護を担ってきたA様を後見人候補者として推薦しました。
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後見人選任後の遺産分割協議と家庭裁判所の許可 無事に選任された後見人がお母様の代理人となり、お母様の法定相続分(2分の1)をしっかり確保する形での遺産分割協議案を作成。家庭裁判所の適切な監督のもと、合法的に預貯金の解約と不動産の相続登記を完了させました。
結果
後見人を正しく立てたことで、法的リスクをゼロにした状態で安全にすべての手続きを終えることができました。A様からは「最初は後見人に抵抗がありましたが、正しく手続きをしたおかげで、銀行にも堂々と対応でき、母の将来の介護資金も無事に確保できて心から安心しました」と感謝のお言葉をいただきました。
認知症の家族がいる場合に取れる「4つの現実的な対処法」
お母様に認知症があり、意思能力がない場合、安易に「後見人なし」で遺産分割協議を行うことはできません。しかし、置かれている状況によっては、後見制度の利用と並行して、あるいは事前に以下のような対処法を講じることが可能です。
対処法1:生前に作成された「遺言書」がないか徹底的に探す
もし亡くなったお父様が生前に有効な「遺言書」を残していた場合、遺産分割協議そのものが不要となります。
遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」「妻に自宅を、長男に預貯金を相続させる」といった具体的な指示があれば、お母様に意思能力がなくても、遺言書に基づいて単独で銀行解約や不動産の名義変更を進めることができます。
以下の手段で、遺言書の有無を徹底的に確認しましょう。
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公証役場の検索システム
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最寄りの公証役場で「公正証書遺言」が作成されていないか照会する(全国のデータが瞬時に検索可能)。
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法務局の保管照会
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「自筆証書遺言書保管制度」を利用して、法務局に預けられた遺言書がないか確認する。
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自宅の保管場所の捜索
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金庫、仏壇、書斎の引き出し、通帳類と一緒に保管されていないか探す。
対処法2:預貯金の「仮払い制度」で当面の資金を確保する
「お母様の介護費用や、お父様の葬儀費用・医療費を払うためだけに、とりあえず故人の口座からお金を引き出したい」という目的であれば、後見人の選任を待たずに「預貯金の仮払い制度(遺産分割前の払戻し制度)」が利用できます。
民法改正により創設されたこの制度を使えば、遺産分割協議が成立していなくても、各金融機関の口座から以下の計算式で算出された金額を、相続人単独で引き出すことが可能です。
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【仮払い上限額の計算式】
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(相続開始時の預貯金口座の金額)× 1/3 ×(請求する相続人の法定相続分) ※ただし、同一の金融機関からの払戻しは法定上限「150万円」まで。
この制度を活用すれば、当面の急ぎの支払いにお金を充てることができるため、焦って不法な遺産分割協議書を作成する必要がなくなります。
対処法3:正しく「成年後見制度」を申し立てて遺産分割を行う
遺言書がなく、お母様の意思能力もない場合は、家庭裁判所に「成年後見開始の審判」を申し立てるのが唯一かつ正確な解決策です。
選任された成年後見人(または特別代理人)がお母様の代理人として遺産分割協議に参加します。成年後見人はお母様の権利と財産を守る立場にあるため、原則として「お母様の法定相続分(または生活に必要な財産)」を確保する形で協議を成立させます。
「費用がかかる」というデメリットばかり注目されがちですが、以下のような大きなメリットもあります。
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財産の防衛: 悪質な訪問販売、詐欺、他の親族による財産の使い込みからお母様の資産を厳格に守れる。
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身上保護: 今後、お母様が介護施設に入所する際の契約や、医療に関する契約を後見人が代理で行える。
対処法4:【予防策】症状が軽度なうちに「家族信託」や「任意後見」を検討する
もし、この記事をお読みの方で「まだ親の認知症は軽度だが、将来の相続が不安だ」という段階であれば、生前対策として以下の制度を活用することで、将来の後見人問題を回避・軽減できます。
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家族信託
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親の判断能力があるうちに、実家や預貯金の管理・処分権限をお子様に託しておく契約。親が認知症になっても、お子様の判断で実家の売却や資金動員が可能。
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任意後見制度
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親の判断能力が健全なうちに、将来認知症になった際の後見人と支援内容をあらかじめ契約で決めておく制度。
相続手続きを放置する「数次相続」の最大リスク

「後見人を立てるのが面倒だから」と相続手続きを何もせず放置してしまうことは、最も避けるべき危険な選択肢です。
相続手続きを放置している間に、認知症のお母様が亡くなってしまうと、お父様の相続とお母様の相続が同時に発生する「数次相続(すうじそうぞく)」という状態に陥ります。
数次相続が発生すると、以下のような深刻な事態を招きます。
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相続人がネズミ算式に増加する
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代襲相続などが絡み、疎遠な親族や面識のない遠戚まで相続人に含まれることになる。
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協議が泥沼化する
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人数が増えるほど意見の一致が難しくなり、遺産分割協議が完全に頓挫する。
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不動産の義務化・ペナルティ
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相続登記の義務化により、放置し続けると過料(過料の罰則)が科される可能性がある。
問題を先送りすればするほど、解決にかかる時間も費用も膨れ上がっていきます。「認知症の家族がいるからこそ、早期に正しく対応する」ことが結果としてご家族全員を守る最善策なのです。
まとめ:認知症が絡む相続問題は、まず北区の「無料相談」へ
認知症のご家族がいる場合の相続手続きは、安易に「後見人なし」で進めることはできず、個別の状況に応じた法的な精度と判断が求められます。
知識のないまま自己判断で手続きを進めてしまうと、金融機関から拒絶されたり、将来的な親族間のトラブルに発展したりするリスクが非常に高くなります。
東京都北区で遺産相続・名義変更に特化している当事務所では、これまで数多くの「認知症が関わる相続問題」を解決に導いてまいりました。
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「うちの親の状態だと、後見人の申し立てが必要なのか診断してほしい」
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「預貯金の仮払い手続きや遺言書の検索をサポートしてほしい」
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「将来のトラブルを防ぐため、一番負担の少ない方法を教えてほしい」
このようにお悩みの方は、ぜひ一度当事務所の「初回無料相談」をご利用ください。ご家族の状況やお持ちの財産の内容を丁寧にヒアリングし、司法書士が身近な専門家として親身にサポートいたします。
まずはお気軽にお電話、またはWebお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。

















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