【2024年】相続登記が義務化!期限を過ぎるとペナルティがあります!
目次
相続登記とは、相続が発生した際に、被相続人(故人)から配偶者やお子さんといった相続人に財産の名義変更を行う手続きのことです。
この相続登記が”義務化”となります。
義務化に伴い、期限以内に相続登記を行わなかった場合、ペナルティが科されます。
この記事では、
・相続登記が義務化される理由、時期
・相続登記義務化の概要、ポイント
・未登記の不動産がある場合の対応方法
について、登記業務の専門家である司法書士が解説をします。
相続登記義務化の概要・ポイント
今回の相続登記義務化の概要は、
・義務化された相続登記(名義変更)には手続き完了の期限あり
・過料を科せられる可能性あり
・相続人申告登記制度が新設
・遺産分割後の名義変更登記も義務化
・義務化に伴う登記手続きの一部が簡略化
・法務局が死亡情報を登記できる
です。
相続登記義務化に伴い何がどう変わったのか、新しい制度、手続きの変更など6つのポイントについてさらに詳しく解説していきます。
1:相続登記が義務化
相続登記が義務化となります。
相続により不動産の所有権を取得した者は、相続の開始及び相続で不動産取得を知った日から、3年以内に不動産の相続登記(名義変更)をしなければなりません。
相続登記は、遺言などの遺贈による所有権の取得者も同様です。
2:期限あり!ペナルティあり!
相続登記を3年以内に相続登記(名義変更)しなければなりません。
「10万円以下の過料」が科される可能性があります。
相続で不動産取得を知った日から3年以内に相続登記(名義変更)をしないと10万円以下の過料の対象となりますので注意してください。
3:相続人申告登記制度が新設
今回の法改正では、”相続人申告登記制度”が新設されます。
相続人申告登記制度とは、相続の申請しなけばならない人が「私が不動産の相続人です!」と申し出て登記をすることです。法務局の登記官に対して申告をします。
この制度は、相続で不動産取得を知った日から3年以内に登記ができない事情がある場合に申告をすることが可能です。主に遺産分割協議となったケースです。
期限内に協議が終わらない見通しであれば、事前に申告をすることで、相続登記の義務を履行したものとして認めてもらえます。
相続人申告登記を申請すると、登記官はその不動産の登記に申出人の氏名や住所などの情報を付記します。この時点では正式な相続登記ではありません。
その後、相続人が確定したら、確定したその日から3年以内に正式な相続登記(名義変更)をする必要があります。
相続人申告登記の具体的な申請方法について詳細は未定です。相続人が単独で申請できて添付資料も簡易なものとなる見込みです。正式な相続登記より負担が軽くなるので、すぐに相続登記ができない事情がある場合は相続人申告制度を利用しましょう。
4:遺産分割後の名義変更登記も義務化
相続で不動産取得を知った日から3年以内に相続登記(名義変更)をしなければなりません。
しかし、事情があり相続の登記が期限に間に合わない場合には、相続人申告登記あるいは民法で定める法定相続人が法定相続分で一度登記する必要がありました。
どちらの手段にせよ、申請したとはいえ”仮”状態といえます。申請内容と遺産分割後の内容が異なるいう事態の発生も考えられます。
そのため遺産分割協議等で遺産分割が確定した後、遺産分割で不動産を取得した相続人は、相続した不動産の名義変更(相続手続き)を行わなければなりません。この遺産分割後の名義変更も義務化となったのです。
遺産分割後の名義変更も、遺産分割の日から3年以内に行わなければならないので注意してください。
ちなみに、期限に間に合わない場合は手間と費用のかからない、新設された相続人申告制度がおすすめです。
5:登記手続きの一部が簡略化
相続登記の義務化に伴い、名義変更手続きが簡略化されます。
これまでは、相続人全員の協力がなければ名義変更手続きを行うことができませんでした。
ですから、非協力的な相続者がいると名義変更を行うことができず、登記義務化に対応するのが困難となります。
これを踏まえ今回の法改正で、名義変更を簡略化し手続きをスムーズに行えるようになりました。名義変更簡略化について2つのケースを解説します。
被相続人(故人)が相続財産を遺贈する内容を残していた場合
不動産の遺贈を受ける者は、法定相続人全員または遺言執行書の協力のもと名義変更手続きをしなければなりませんでした。
協力が得られなければ手続きができませんので、遺贈を受ける者が単独で申請可能となりました。
法定相続分の相続登記後、遺産分割による名義変更登記の必要がある場合
このケースも、他の法定相続人全員の協力があって初めて名義登録が可能でしたが、不動産の取得者単独で手続きができるようになりました。
6:法務局が死亡情報を登記できる
法務局は、住民基本台帳ネットワークシステムのデータをもとに、死亡情報を登記できるようになりました。
登記簿上の所有者が死亡していると把握した場合、法務局(登記官)の判断で死亡情報を登記します。
故人(被相続人)の死亡情報は登記されますが、相続登記が完了されたわけではありません。
相続人が相続登記を必ずしなければなりませんのでご注意ください。
相続登記はいつ義務化されるの?
相続登記の義務化は、【2024年4月1日】から施行となります。
これを踏まえ、以下では相続登記が義務化されることとなった背景や改正におけるポイントをより詳しく解説していきます。
登記義務化の背景にある所有者不明土地の問題
所有者不明の土地とは、国土交通省によると「不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地」を所有者不明の土地と定義しています。
法務省による不動産登記簿における相続登記がされていない土地調査をした結果(平成29年法務省調査)最後の登記から50年以上経過している土地の割合は大都市で約6.6%、中都市・中山間地域で約26.6%という結果がでています。
さらに、地籍調査における土地所有者等に関する調査(平成30年版土地白書114頁参照)では不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地の割合は約20.1%と、長期間登記されていない土地は、現に所有者がわからなくなっているか、将来所有者がわからなくなる可能性が高いと考えられます。
本来であれば相続が発生したら相続登記(不動産の名義変更)を行わなければなりませんが、以下のような事情から相続登記の手続きを放置していることが多くあります。
・日中は忙しくて市役所や法務局に行く時間がなく
・相続登記は義務ではないのでやらなくてよいと思っている
・相続人全員の同意が求められるなど手続きが煩雑で司法書士費用もかかる
・相続人同士で揉めていて、誰が土地を相続するのか決まっていない
このような事情で相続登記を放置してしまうことで、「誰の土地なのか把握できない」「所有者の名前が判明しても居所が不明」という問題が発生しているのが現状です。
相続登記が義務化となる理由
相続登記が義務化される理由は、所有者不明の土地が増加したことです。
不動産の登記を長期間に渡り放置していると、土地の所有者が誰なのか把握するのが困難になります。
これまでは相続登記が義務ではなかったため、手続きが面倒・土地の評価額が低いといった理由から相続登記を放置するケースが多くありました。
土地の所有者が不明の空き家や荒れ地は処分が難しく、周辺の土地の地価の下落や景観が悪化に繋がります。
さらに、所有者不明の土地が原因で、公共事業や都市開発が進まないという事態にも陥っているのです。
現在、このような所有者不明の土地の増加が社会問題となっています。
所有者不明の土地が増えることを防ぐために相続登記が義務化されることになりました。
相続登記しない場合の相続人のリスク
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①不動産売却や相続税申告の困難性
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相続人が相続登記を怠ると、不動産の所有者が不明確なままであるため、不動産の売却や相続税の申告が困難になります。この場合、不動産の処分や相続税の計算が遅延し、財務上の問題が生じる可能性があります。
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②遺産分割や処分時のリスク
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相続登記を行わないと、不動産の所有権が明確でないため、遺産分割や不動産の処分に関する争いや問題が生じる可能性があります。これにより、相続人間の関係が悪化し、法的紛争が発生するリスクがあります。
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③法的罰則の可能性
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相続登記は法律上の義務であり、これを怠ると法的な罰則が課せられる可能性があります。例えば、相続人が相続登記を遅延させた場合、法的責任を問われる可能性があります。
未登記の土地を相続するデメリットとは?
登記を放置した、所有者のよくわからない土地を相続するとどんなデメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
1:土地の売却ができない
所有者不明の土地を所有するデメリット1つ目は、「土地の売却ができない」可能性があることです。
あなたは土地を購入する立場だとします。所有者不明の未登記の土地を安心して購入することができるでしょうか。
相続登記や住所変更登記が放置されおり、登記簿で売主の名義が確認できなければ、土地の購入希望者は不信感を抱き取引に応じてくれないケースが考えられます。
不動産を売却したいとお考えであれば、相続登記をした上で売却をすすめる必要があります。
2:所有者不明の土地は活用が難しい
所有者不明の土地を所有するデメリット2つ目は、「土地の有効活用がしづらい」ことにあります。
土地を取得したり利用したりするためには、所有者の同意が必要です。つまり、所有者を明らかにしなければなりません。
登記簿から所有者が判明しない所有者不明の土地は、
・所有者を見つけるのに手間がかかる
・所有者の同意を得るために手間がかかる
このような理由から、土地の有効活用の妨げとなってしまいます。
相続登記を放置した所有者不明の土地の多くは、登記簿の名義人が亡くなった故人のままです。
所有者が死亡した土地は相続人が共同で相続すると法律で定められており、名義人(故人)の相続人を探し出す必要があります。
名義人の相続人を探し出すには名義人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。もし相続人が死亡していれば、その相続人の出生から死亡までの戸籍謄本も取得しなければなりません。長期間にわたって相続登記が放置されていた場合、相続人を十数人も調べなければならないケースもあるのです。
このように相続人の探索や戸籍収集には時間がかかります。探索人数が増えれば費用もかさみます。時間・費用負担が土地の有効活用の妨げになっています。
また、所有者不明の土地の実質的な所有者(名義人の相続人)を探し出したとしても、次にこれらの相続人の全員と交渉して同意を得る必要があります。
相続人が十数人に及んでいた場合であっても、すべての相続人の同意を得なければならず、極めて困難です。
3:相続時にトラブルに繋がる恐れがある
所有者不明の土地を所有するデメリット3つ目は、「正しく相続できない」ケースがあることです。
被相続人の相続登記がなされていない物件の共有持ち分を保有していたとしても、長期に渡り相続登記が放置されているケースでは、どのくらいの持ち分なのかを不動産登記簿によって確認することができません。そもそも持分を保有していない可能性もあります。
遺言書があったとしても、相続対象となる財産を正しく指定できないとして遺言の内容の一部が無効になってしまうことがあります。
それどころか遺言全体が無効になってしまうケースもあるのです。
登記を放置している不動産も対象!
法改正により相続の登記が義務化となるわけですが、義務化となる2024年から登記を行えば良い!というわけではなさそうです。
現在相続登記がなされていない不動産も対象に含むと検討されています。
現時点で相続登記がなされていない不動産が相続登記義務化の対象となれば、これまで相続登記を放置してきた相続人全員が対象となります。
・相続登記をきちんと行っているか
・うっかりで未登記の不動産がないか
まずはご自身やご家族の現状把握をきちんと行うことが重要です。
現在の登記について調べる手段は、法務局で不動産登記の全部事項証明書を取得するか、登記情報を取得できるインターネットサービス(有料)があります。
心配な方、未登記不動産にお心当たりがある方、義務化前に洗い出しておくことをおすすめします。
未登記の土地があった!対処法は?
とにかく早めに手続きを行うことが大切です。
相続登記の義務化により過料が科されてしまうことはもちろん、それ以外にも以下のようなデメリットがあります。
・相続登記義務化後、お子さんやお孫さんに迷惑をかける
・未登記の不動産を売却したり、担保にできなくなる可能性がある
・相続人の中に借金を抱えている人がいた場合、不動産を差し押さえられるリスクがある
相続登記は司法書士ではなくご自身でも手続きすることが可能です。
しかし、長期間に相続登記を放置していた可能性がある場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。
相続人の探索や戸籍収集には手間がかかるからです。相続人が多い場合も手続きが煩雑なため司法書士への依頼がよいですよ。
また、仕事の都合で、日中に市役所や法務局へいけない人も司法書士へ依頼しましょう。あなたの代わりに相続登記の手続きをいたしますので安心です。
早めに対策をして、安心して相続を行えるようにしておきましょう。
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項目 | 節約プラン | フルプラン |
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無料相談 |
初回 |
何度でも |
被相続人の出生から死亡までの戸籍収集 ※1 |
× |
〇 |
相続人全員分の戸籍収集 ※1 |
× |
〇 |
収集した戸籍のチェック業務 ※2 |
〇 |
〇 |
相続関係説明図(家系図)作成 |
× |
〇 |
遺産分割協議書作成(1通) ※7 |
× |
〇 |
相続登記申請(回収含む) ※3、4、5、6 |
〇 |
〇 |
不動産登記事項証明書の取得 |
〇 |
〇 |
預貯金の名義変更 |
× |
× |
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500万円を超え1,000万円以下 |
275,000円 |
1,000万円を超え2,000万円以下 |
385,000円 |
2,000万円を超え3,000万円以下 |
495,000円 |
3,000万円を超え4,000万円以下 |
605,000円 |
4,000万円を超え5,000万円以下 |
715,000円 |
5,000万円を超え6,000万円以下 |
825,000円 |
6,000万円を超え7,000万円以下 |
935,000円 |
7,000万円を超え8,000万円以下 |
1,045,000円 |
8,000万円を超え9,000万円以下 |
1,155,000円 |
9,000万円を超え1億円以下 |
1,265,000円 |
1億円以上 |
金融資産の1.43% |
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