財産管理委任契約
成年後見制度は、判断能力の減退があった場合に利用できるものであり、任意後見制度は、事前に契約があった場合でもやはり判断能力の減退があり、さらには家庭裁判所により任意後見監督人が選任されて初めて効力が生じます。
財産管理委任契約は、判断能力の問題に関係なく、家庭裁判所の関与も必要とせずに、今すぐ財産管理を開始してもらいたい場合に有効な方法です。
財産管理委任契約の特徴は、
●当事者間の合意のみで効力が生じる
●内容を自由に定めることが出来る
ということでしょう。
財産管理委任契約のメリット
・判断能力が不十分とはいえない場合でも利用できる
・開始時期や内容を自由に決められる
・本人の判断能力が減退しても、契約は当然に終了せず、特約で死後の
処理を委任することも可能
財産管理委任契約のデメリット
・任意後見契約と異なり、公正証書が作成されるわけではなく、後見登記もされないため、社会的信用が十分とはいえない
・任意後見制度における任意後見監督人のような公的監督者がいないため、委任された人をチェックすることが難しい
・成年後見制度のような取消権はない
以上のことをしっかりとおさえたうえで、財産管理委任契約の判断をしましょう。
この記事の執筆者
司法書士法人リエール
代表
鶴見 英司
保有資格東京司法書士会所属 登録番号 第5857号 ・簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 認定 第1201083号
専門分野相続・遺言・民事信託
経歴司法書士法人リエールの代表を務める。内装職人を経て、27歳から司法書士を目指し勉強を始める。 平成22年度司法書士試験合格後、都内の司法書士事務所に勤務。 不動産登記業務を中心に、商業登記、相続登記等の登記業務を数多く担当する。 平成25年6月、赤羽にて独立開業。令和5年4月、事務所名を鶴見司法書士事務所から司法書士法人リエールに変更。