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認知症の相続人がいると手続きができない!?成年後見や生前対策など解決方法を解説

相続人が認知症であった場合、そもそも相続手続きを行うことができるのでしょうか。

本記事では、認知症の相続人がいた時の手続きや、対象方法について司法書士が解説します。

相続人に意思表示できない認知症の方がいる!相続手続きはできる?

認知症等の方が相続人になる場合、そのままでは相続手続きを行うことは出来ません。

それは、認知症等の方が正しい判断能力(意思能力)を持たない状態では、遺産分割においても正しい判断が出来ないためです。

そうした相続人の方がいる状況で作成した遺産分割協議書は無効となり、法律的には効果を発揮することが出来ませんので、きちんと法律に則った手続きを進めることが必要となります。

また、そうした状況の方に強引に書類の判子を押させてしまっても、当然無効です。

認知症等の方がいる場合の手続きの進め方

相続手続きを行うためには、相続人全員が遺産分割に同意していることが前提となりますので、相続人としての意思表示が出来ない方がいる場合、手続きを進めることが出来ません。

こうした場合には、認知症の相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人が必要になります。

その代理人を成年後見人といいます。

このように、認知症の方が相続人にいる場合の相続手続を進めるにあたっては、まず家庭裁判所に成年後見開始申立てを行い、成年後見人が無事に選任されてから、成年後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う流れとなります。

このうえで、必要書類に署名捺印して相続手続きを進めて、財産の名義変更などができるようになります。
※ この場合、認知症等の方の程度によっては、成年後見人、保佐人、補助人など、種類が変わることがあります。

成年後見人の選任は、家庭裁判所で行われますので、家庭裁判所に対して成年後見開始の申立てを行う必要がありますが、成年後見人が選任されるには、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあり、選任されるまで、一般的には2~3ヶ月は時間がかかります。

相続手続きがスムーズに進めるためには、早めに専門家にご相談いただく必要があります。

 

成年後見人なしで相続手続きを進める方法

代理人を立てずに相続手続きを進める方法もあります。

成年後見人を選任する手間や時間が惜しいということであれば、「遺言書に従って遺産分割」「法定相続分に従って遺産分割」という方法を選択することも可能です。

①被相続人の遺言書に従って遺産分割

被相続人の正式な遺言書がある場合、遺言書に従って相続するのであれば遺産分割協議は必要ありません。

遺言による相続は、意思能力がない認知症の相続人であっても、代理人を立てることなく遺産を受け取り可能です。

遺産分割協議をせずとも不動産や預貯金について、凍結を解除し相続手続きをすることができます。

また、相続人のどなたかが認知症とわかっている場合には、家族信託も有効です。家族信託によって承継先を定めておくことで、同様に遺産分割協議を回避することができます。

②法定相続分に従って遺産分割

法定相続分どおりに相続する場合も、遺産分割協議は必要ありません。

相続人が行う法律行為ではないので、法定相続分に従って遺産分割をするのであれば、認知症の相続人も遺産を受け取れます。

ただし、遺産の中に不動産がある場合を注意です。相続登記が発生するからです。

法定相続分に従って遺産分割を行う場合、相続人全員の共有名義によって相続登記をしなければりません。

実は、相続した不動産を売却する際には、認知症の相続人について代理人を立てる必要があります。

そのため、やっぱり最初から代理人を立てて、遺産分割をしておけばよかったと後悔されるケースが多いです。

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この記事の執筆者
司法書士法人リエール 代表 鶴見 英司
保有資格東京司法書士会所属 登録番号 第5857号 ・簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 認定 第1201083号
専門分野相続・遺言・民事信託
経歴司法書士法人リエールの代表を務める。内装職人を経て、27歳から司法書士を目指し勉強を始める。 平成22年度司法書士試験合格後、都内の司法書士事務所に勤務。 不動産登記業務を中心に、商業登記、相続登記等の登記業務を数多く担当する。 平成25年6月、赤羽にて独立開業。令和5年4月、事務所名を鶴見司法書士事務所から司法書士法人リエールに変更。
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